2014年9月29日月曜日

自分的Mixのプロセス、その2

前回はミックスの下準備に関していろいろご説明しました。
ミックスの本題に入る前に色々と長く書いちゃったので、これから本題です。
前回にも書きましたが、このやり方が必ずしも正解ではないです。
それでも、Mix初心者さんの参考になればと思います。

 iv )波形を目で見る part1
DAWのAbleton Liveに
各トラックを並べたところです。





カラオケ+歌のデータで基本は全てではありますが、
だからといってオケとボーカルトラックの2本で済むことは稀です。
曲の構成に合わせて掛けるエフェクトやEQが変化するのが多いので
いくつかのトラックに分けてミックスを行います。
画像は2人でデュエットする曲なのですが、ボーカルトラックは
合計8トラック使用しています。
管理が多少大変ですが、こっちの方が細かく見ていけるので
やりやすいですね。

”波形を目で見る”のその1なのですが、この画像でも見える
黒い波形の大きさ=素材の音の大きさです。一目瞭然です。


v )波形を目で見る part2
もう一つ大事なのはスペクトラムです。

これはどの周波数で音が鳴っているのかをグラフィカルに見ることが
出来るものなんですが、聞こえているものを「見える化」出来るのは
とても大事です。
左が低い周波数、右が高い周波数、
縦の高さは音量の大きさです。







これはマスタートラックだけではなく、例えばオケのトラック単独で見て、
ボーカルトラックでもチェックして、被っている周波数のチェックに
使ったりもします。被っている=その周波数帯の音が過多ってことなので、
そんな場合はEQやフィルターを使用してそこの音を和らげたりします。
これも大事な「波形を目で見る」です。

Mixって、音の整理をしてあげることで聴きやすく整える作業です。
耳だけで得られる情報だけでなく、こうやって「見える化」することで
より客観的に自分のMixが理解出来ます。
これらはPCを使ってMixするメリットの一つなので、理解して積極的に
使うべきですね。
特にスペクトラムは歌い手さんも自分の声を客観的に見ることが出来て
楽しいと思います。自分の声の美味しい周波数を見つけることととかも
出来るかもしれないですね。

2014年9月22日月曜日

自分的Mixのプロセス、その1

ちょっと趣を変えて、自分のMix作業の普段の作業について
書いてみたいと思います。このやり方が必ずしも正解ではないと
思っていますが、Mix初心者さんの参考になればと思います。

Mixって、 カラオケと歌ったものを足し算するだけじゃないの?と
思う人もいると思いますが、それはある程度正解である程度間違い。
混ぜるだけならそれでいいんですが、そのMixの結果はまず100%
世の中で販売されているような奇麗なものにはなりません。
いろんな段階、プロセスを経て磨き上げる作業が必要なんです。



i )まずは下処理から。
たいていはボーカルやコーラスの録音物とカラオケ音源をセットでもらいます。
ここで行う下処理とは主に録音物に対して行います。
録音物のノイズが多い場合、環境や機材の関係で奇麗に録れていない場合は
その癖をある程度消してあげる必要があります。

そう、料理でもやる下処理と同義です。
血抜きをして臭みを消す、食べにくいスジを取ってしまう、
塩揉みをして苦さをなくす、みたいな処理を料理ではすると思いますが、
録音状態が良くないとそういった作業にとても時間を掛けます。
具体的にはEQ(イコライザー)で不要な周波数をばっさりカットしたり、
ノイズを軽減系のプラグインを使うのですが、この作業は正直楽しくないです。
どうしても消しきれない癖ってあります。それに、この手の処理はすればするほど
原音から離れてしまうので、 「あ、加工したな」とすぐに分かっちゃいます。
これを気づかれないレベルギリギリまで追い込むのも技術ではあるんですが。

  一例ですが、僕が使うDAWのAbleton Liveのイコライザーです。
この画像の場合、ローの周波数を削ってます。





 ii )音のツブを整える。
下処理が終わって、Mix本題に入っても大丈夫な素材が出来たら、いよいよ
本作業に入るのですが、次いでやるのが”音のツブを整えること”です。
曲の中で静かなところ、にぎやかなところがある曲ならやはり歌い方や
声のボリュームも大小が生まれます。これをそのまま気にせずに、例えば
音の大きなところ基準でMixすると小さいところは聞こえなくなるし、
小さいところ基準でMixすると今度は大きなところがうるさくなる。
これを調整するのがここでの工程です。

 上みたいに料理で例えると、材料を切るところでしょうか。
大きいサイズと小さいサイズが混在すると食感が悪いし、火の通りもまちまち。
そうならないようにある程度均質化してあげる必要があります。
ここで使うのはコンプレッサーやリミッター。特に僕はコンプで追い込みます。
コンプレッサーとは「圧縮機」なんですが、簡単に言うと
「小さな音は引き上げて、大きな音は締める」という効果を担います。

同じくAbleton Liveのコンプレッサーです。
コンプの使い方は知識と経験が重要。
試行錯誤をしたり、プリセットのパラメーターを
みて研究するといいと思います。
これで素材が整ったらいよいよMixの本題に入っていく感じです。




iii )タイミング&ピッチ合わせ。
DAWにオケと調整した素材を並べていよいよMix作業に入るのですが、
ここで歌とオケのずれを修正の作業を行います。
何をするかというと、音を聞き、波形を見て、突っ込んだりモタったり
している音を手動で切り刻んで調整します。

ところどころ波形がブツ切りになっているのは
タイミング調整を行ったところです。





この作業は結構歌い手さんの癖との兼ね合いもあって悩みどころの作業。
独自のテンポを持っている方もいらっしゃいますし、原曲の譜割をあえて
崩しているケースもあるので、一存で決められない要素です。
なのでここはコミュニケーションが結構大事。また、この段階で
必要があればピッチの修正も行います。
これはApple Logic X PROのピッチ修正機能、
Flex Pitchの画面です。この他にMelodyneや
Autotuneを使うこともあります。








このピッチとタイミングの修正もやり過ぎは聞けばすぐに分かるものになって
しまうので、下処理同様、いかに自然に直すかというテクニックも必要です。

長くなってきたので一旦締めたいと思いますが、
ここまできて、まだMixらしいことはやってないことにお気づきでしょうか?
トラックごとのボリュームバランスを取ったり、リバーブとかディレイとかの
エフェクトを掛けたりするのはこの後の作業です。

ミックスに入る前の段階の作業が実はすごく大事で、しかもここで手を抜くと
最終の成果にも影響を及ぼします。
所々で料理のたとえ話をしましたが、下拵えがちゃんと出来てないせいで
不味い料理ってよろしくないですよね。
生臭い魚料理、スジっぽい肉料理、ベチャベチャなライス。
そうならない為にしっかり頑張る必要があるんです。


でもこの作業ってあんまりクリエイティブではないです。
痛んだ材料をどうにかしておいしく食べられるようにするよりは、
新鮮でそのまま食べられる素材に腕を振るってもっと美味しく食べられるように
料理したい、と言えば分かってもらえるでしょうか。
(歌の技術のことを言っている訳ではないですよ、念のため。)

なので、提供してもらう録音した素材はノイズや癖の少ないものが
欲しい訳なんです。オーディオインターフェースやしっかりしたマイクを使ったり、
録音環境、手法にこだわって欲しいのはそれが理由ですね。

あ、機材や環境が整わなくても、「とにかく表現したくて仕方ない」という
衝動も分かるので、万全の素材ではなくてもMixの依頼はお受けしますよ。
まずはご相談ください。

2014年9月14日日曜日

ゆらそさんの「エイプリルストーリー」Mixしました。

ちょっとは何かMixにまつわるネタでも書こうと思いまして。
Mixの事例の紹介とその時のエピソードでも書こうかと思います。
 先日ゆらそさんのご依頼でエイプリルストーリーをMixしました。

動画はコチラ。
【エイプリルストーリーうたいました/ゆらそ】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm24460612


素材としてもらったゆらそさんの声を聞いたときに、
「これはカジヒデキとかそういう感じ?」という印象があり、
しかも曲は「アジカンとかそういう感じ?」というイメージから
割と方向性はすぐに決まりました。
声でインスピレーションが生まれると割とゴールが見えやすくて早い。

ボーカルピッチの揺らぐ感じはきっと味なので、それを生かしつつ、
タイミングの調整も少なくして加工した感じは出さないように心がけました。
原曲は渡されたときに初めて聴いたのですが、コーラスパートがない
曲だったので、特に縛られずにコーラスパートを主線からスクラッチ。
割といい感じになったんじゃないかなと思います。

今回は殆どLogicだけでMixしています。
あ、でも間奏のところの揺らいでるボーカルに関してはAbleton Liveの
Autopanを使ってるかな。細かなオーディオの切り貼りをしないのであれば
Logicだけでもやれる感じがしました。
割とクラブミュージック的な曲のMixが普段は多いのでこういう
ロック&ポップス的な曲のMixは新鮮でした。楽しかったです。

2014年9月8日月曜日

Blog開設しました。

今更Blogというのもどうかとは思うのですが、
Mixを色々お手伝いさせて頂くにあたって、自分の情報をまとめた拠点を
構えた方が良いかと思い、開設しました。
ピアプロやTwitterなどにアカウントがあり、そこで既にやり取りを色々とさせて
頂いているんですが、はじめましてな人には纏まってる方が分かってもらいやすいかなと。
そういった動機から始まっているサイトなので、更新頻度はそれほど高くは
ない感じになるとは思いますが、よろしくお願いします。

まずは上記で記載している自分の情報に関して一式まとめます。
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twitterアカウント:@ShowMixer
ピアプロアカウント:http://piapro.jp/show_taro
ニコニコ動画マイリスト(Mixでお手伝いした曲達)
http://www.nicovideo.jp/mylist/45473925
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Mixの依頼をされたい方は上記Twitterやピアプロ、
もしくはSkype(show_taro-k)でご連絡下さい。
Mix依頼の際には以下のポストも確認して頂けると幸いです。
Mixをご依頼頂く方に

Mixをご依頼頂く方に。

ご覧頂きありがとうございます。
Mix依頼に関して、お願いしたい事、よく質問される事をまとめました。
少し難しいこともありますが、Mixの依頼の際には必ず通る道を
説明していますので、お付き合い下さい。

Mixのヨロズゴト、ご相談に乗ります。
ニコニコ動画や様々なところでMixをさせて頂いています。
http://www.nicovideo.jp/mylist/45473925
使用DAW:Ableton Live / Apple Logic
使用plugin:Autotune / Melodyne Editor / iZotope Ozone&Necter /Waves各種 など


■ご依頼頂く際の連絡先
・twitterでのご連絡(@ShowMixer

■依頼の際にご用意頂きたいもの !!大事な3点セットです!!
1)録音したボーカル音源(加工していないもの)
2)伴奏となるカラオケ音源
3)Mix依頼用フォーマット(Mix指示書)
3に関しては、下記の依頼用フォーマットをダウンロードしてご記入下さい。
素材は一括してZIPファイルにし、Firestorageなどストレージ経由でお送りください。

依頼用フォーマットはこちらからダウンロードしてください。
https://app.box.com/s/jawjg53l618aezejitqiwproeffmisie


ボーカル音源に関しては、基本的にオーディオインターフェースの使用が必須です。
また、あまりにもノイズが大きいもの、録音のボリュームが小さいものに
関してはお受け出来ない事があります。(素材を聴いてのご相談となります。)

■納期について
基本的には素材をお預かりしてから納品まで5-7日程度を目安にしています。
仮mixのご提示→修正依頼確認→修正・ご納品の流れとなります。

※下記の作業がない場合、納期が早まる可能性が高いです。
タイミング修正 / ピッチ修正 / ケロケロなどのボーカル加工 / コーラス生成
また、素材の状態によってスケジュールが延長する場合や、
リテイクを要する場合もあります。(随時ご相談)


■録音のフォーマットについて・aiffもしくはwav形式
・16bit/44.1kHz以上・モノラル
また、素材の頭出しは可能な限りお願いします。
(環境がないなど、どうしても出来ない場合はご相談下さい。)

■依頼の対応順について
基本的には依頼順で対応しますが、急ぎの指定がある場合はその依頼を
優先する場合がありますので、ご容赦ください。